美由紀さんの誘導で前世に入っていった。
黒っぽい煙の中にいるような感覚。
重くて胸が苦しい感じ。
性別、年齢など問われても、何も見えない。
私はいる?
次の場面で、外国のカラフルなフルーツやパン、野菜が並ぶ可愛い露店が連なる街が見える。
そこは温かな感じがする。私が好きだった景色のような気がする。
でも、やはり性別、年齢などわからない。
また次の場面では
私は薄暗い家の中にお父さんと2人でいる。
私は4歳くらいの女の子。
お父さんは悲しそうな暗い顔をしている。
お父さんは感情を無くしているみたい。
私もまた暗い顔をしている。感情を無くしている。
私は小窓から外を見ている。
窓の外は牧場?緑が広がって明るい。
でも、私は外に出る気持ちすらない。
「どんな気持ち?」と問われて、『感情をなくしている。』と答えたとたん、ワァーっと悲しみが溢れて出した。
現世の私は声をあげて大泣きした。
そこでその前世の記憶がよみがえる。
4歳くらいの幼い私は人とは異なる能力があった。意識だけでものを動かせたり、嫌なものを排除したり、それでまわりの人々から非難され、恐れられた。
それにより、お母さんも私に恐れを抱き、どう扱っていいのかわからなくなり、悩みに悩んで家を出て行ってしまったのだ。
そこでその瞬間、現世の私は自分と娘のことを思った。
『同じ事をしている。』と。
現世の私は娘をどう扱ったらいいかわからず、長い間悩んできた。
心の中で、時に娘を可愛いと思えず、時には拒絶する感情もあった。
親に拒絶される子どもの気持ちが辛すぎる。
拒絶された子どもは絶望しかなく、そこは黒い煙りの中にいるのと同じなのだ。
だから、私の娘は4歳くらいから「死にたい。」と言っていたのだろうか…。
前世の4歳くらいの私は絶望し悲し過ぎて感情を無くしてしまった。それは、お父さんも同じだった。
私は絶望の中で家から一歩も出なかった。
出たらまた誰かを傷つけると思ったから。
でも、そんな中でも魂だけは自由だった。
だから、露店がある街に魂がいた。
その街並みは昔、お母さんと行った楽しかった思い出の場所。
魂すら私を拒絶してしまったお母さんには会えなかったから、せめてお母さんとの思い出がある街並みを見ることだけが私の救いだった。
前世の私達親子は美由紀さんに促されて、お互いの苦しみ悲しみを認めて許し、癒し、抱き合った。
やっと魂が満たされた。
温かな光が天から降りて来て私達を包む。
私とお母さんはその光に包まれたまま天に上がっていった。